犬好きの人が読んだら心打たれる短編小説です。

江國香織さんの書いた短編小説集の「つめたいよるに」は、素敵なおはなしが二十以上詰め込まれています。

どの小説も好きなのですが、特にお気に入りの作品は「デューク」です。二十一歳の女の人がかわいがっていた犬のデュークが亡くなってしまい、悲しみで涙が止まらないシーンから始まります。

私もずっと前ですが、心底かわいがっていた犬が死んでしまったときは、家族が死んだような気持ちでいっぱいになりました。ふとした瞬時にその犬との楽しかったことを思い出しては、泣いていました。ですから、この物語の主人公に強く感情移入して読み進めました。

さて、悲しみにくれている女性のところに、19歳くらいのハンサムな青年が現れます。そして、一緒にプールに行って泳いだり、散歩もし、落語を聞いたりしてくれるのです。青年は彼女を悲しみから救い出そうととにかく寄り添って過ごしてくれます。

最後に、その青年は「今までずっと、僕は楽しかったよ。」と彼女に言ってキスをします。キスの感じがデュークにそっくりだったので、彼女はこの青年はかわいがっていた犬だと気がつくというわけです。

私のかわいがっていた犬も、こうして現れてくれないかなあ。そう思いながら読んでいて涙が止まりませんでした。「僕もとても愛していたよ。」そう言って彼は駆けていってしまうのですが、行かないで!と思い、もう号泣です。

犬の好きな人にはおすすめの小説です。