働かざる者たち

新聞社の技術部で働く傍ら、漫画家としても稼いでいる青年、橋田を主人公にしたサラリーマン・ストーリーです。ヤバいほどのやる気のない窓際社員たちに焦点を当てていますが、そのリアリティや使えなさ具合の絶妙な塩梅は、以前から窓際な社員たちをテーマにしてきたサレンダー橋本氏ならではの冴えとも言えます。

もっとも、「働かざる」とは言え良くある完全なニートや無職者を主人公にした作品ではなく、皆、一応社員として働いている身なので、まったく仕事をしていないわけではありませんし、社内でダメになった経緯も様々です。手柄を横取りされたことでまったくやる気を失ってしまった校正担当者や、一般の新聞だけではなく、エロい記事も載っているような大衆紙を手がけるようになったことで全力を振るえなくなってしまった印刷会社の社員など、彼らの動機もなかなか説得力があります。もっとも、給料をきっちり貰っている以上、「働けっ!」と言いたくなってしまう感じではありますが。

本作の面白いところは、主人公の橋田が色々なダメ社員と接する中で、プロとしての自覚を持ち会社の仕事と漫画をパワフルに両立させていく一方で、ダメになった社員たちに、少なくともすぐには解決策を提示していないところです。こういったタイプの作品では、やる気溢れる主人公と会ったことで、ダメな社員が奮起するといったパターンが王道なのですが、本作で登場するダメ社員たちが変わった、という描写を見ることはできません。そこが意外で面白いところなのですが、考えてみれば巨大な新聞社の中のこと、やる気にあふれ実力のある社員は無数にいるはずで、活きのいい新人に出会ったことで変わるというのも考えてみれば不自然なのかも知れません。

一級の「会社あるある」漫画である一方で、不思議なスタンスを保っている本作、今後の展開も注目していきたいところです。