黒髪の彼女を追って「夜は短し歩けよ乙女」

本作は、映画化もされた森見登美彦先生の小説です。主人公の「私」は大学生。
意中の「黒髪の乙女」と、なんとか親密になろうとしますが、いつも努力の方向がおかしくて、空回ってばかり。

春の木屋町で、夏の古本市で、秋の学園祭で、冬の京都の街で。

彼女を必死に追いかけても、天然な彼女は「先輩、奇遇ですね!」と笑ってばかり。素直で優しく好奇心旺盛で、ついでに酒豪な彼女は、いつも目の前の面白いことに夢中。

知り合いの借金をかけて飲み比べをしたり、ゲリラ演劇の主役に抜擢されたり。主人公は、そんな彼女の後ろ姿を眩しく見つめてばかり。考え過ぎる上に自意識過剰な主人公は、なかなかハッキリした行動を取れません。まどろっこしいやり方では、彼女には通じないのに……。

それでも、彼女の欲しい絵本をかけて我慢比べをしたり、力技で彼女の相手役になったりと、少しずつ接近していきます。そして最終章の「魔風邪恋風邪」では、とうとう勇気を出して、ある一言を……!

夢と現実を行き来する物語は、賑やかな宴会のような楽しい味わいです。自称天狗の樋口さんや、酒豪美女の羽貫さんなど、脇を固めるメンバーも皆強烈。主役二人の恋模様を含め、楽しくて可愛い青春物語です。