現代人を知るなら必読!『三面記事小説』

角田光代さんの書く社会派小説です。

三面記事とは、新聞記事のなかでも特に、人々の生活がにじみ出る記事のことです。あなたの人生に降りかかるかもしれないけれど、新聞で大きく取り上げるほど世間が重視するわけでもない……そういう生々しい日常が映し出される記事です。

角田さんは、新聞に掲載されたこの「三面記事」から着想を得て、6本の短編にまとめました。どの作品もドロッとしていて、思わず顔をしかめたくなります。

各作品のタイトルページが三面記事を模したデザインになっており、どの新聞記事を参考にしているのか、新聞社名や年月日で推測できるようになっているのもおもしろいですね。

私がこの本のなかで特に気に入ったのは「光の川」です。老いた母親と、介護に励む息子の物語です。現代の日本でも問題となっている超高齢化社会。大人になるにつれ、その厳しさや過酷さを強く感じるようになっている方も多いのではないでしょうか。

時折ふと認知症ではなかった頃の表情を見せる母親の姿が、仕事と介護を必死に両立させようとする息子の心を震わせます。その様子を読むことで、介護経験のない人の胸にも迫ります。

私たち人間の悩ましさと苦しさを味わうなら必読の書です!