姫野カオルコ「ツ、イ、ラ、ク」の魅力

この物語は、地方の小さな町で暮らす、主人公・森本準子の小学生時代から始まり、彼女の成長・恋愛・人生すべてが描かれた長編小説です。

「主人公である中学生・準子と教師の恋愛」が中心の物語で、もちろんそこに重点が置かれていますが、私は、それを取り巻く周りの人々の群像劇もポイントになっている作品だと思います。

長編小説というのは、読み始めることを躊躇ってしまいがちですが、この作品は読後に必ず「読んでよかった。また読みたい。」と感じる作品です。

私はこの作品の魅力として、主人公・準子と周りの人々の成長がリアルに描かれているところを挙げたいと思います。

学生特有の悩みと真剣に向き合い成長していく登場人物に愛着がわき、すぐに物語に夢中になっていきます。

また、準子とその周りの人々の、小学二年生から中学卒業までの8年間の成長がノンストップで描かれていき、物語の最後にはそれからさらに19年が経ち、大人になった彼女らが登場します。この長い年月のストーリーが500ページにも渡り描かれているため、読了後には、「私も準子たちとともに学生時代を過ごしていたのではないか」という感覚さえ覚えるほどです。

ここまで無意識のうちに作品に引き込まれていくという感覚が気持ちよく、何度も読み返してしまいます。こんな素敵な作品に出会えて幸せです。

ぜひ、たくさんの人に読んでいただきたい作品です。